世界名作劇場.net 小公女セーラ研究サイト:小公女30周年記念作品 セーラ萌ゆ【7】 ガイエスブルク

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ガイエスブルク

「ブリッツクリークとやらも、とんだ見掛け倒しだったようですね」

擦り傷だらけでうなだれる戦術家夫妻の前で、院長は皮肉たっぷりに言い放った。学院本部1階の大教室。今は鷲の巣(ガイエスブルク)と呼ばれる、院長陣営の大本営である。

「派手に戦力を消耗して。いくらかかったと思っているんです?お前の装甲集団を作るのに…まあ、いいでしょう。いずれこの示しはつけるとして、まずは褒美を取らせることにしましょう」

思わぬ院長の言葉に驚く二人。

「何です、その鳩が豆鉄砲を食らったような顔は?私は公平な人間ですよ。褒めるべきは褒め、罰するときは愛の鞭。要はメリハリをつけることです。私のように多くの人望を集め、他人の上に立つための秘訣です。覚えておくように」

それにしちゃあ、手下が少な過ぎやしませんかい?そっと心で囁くジェームスにはお構いなく、式典が始まる。

「今後、『砂漠の狐』を名乗ることを許し、柏葉付騎士鉄十字勲章100個を与えます。私に感謝しなさい」

「へ、へい、ありがとうごぜぇます」

恭しく勲章の詰まった木箱を受け取ったジェームスはしかし、中身を見て呻いた。それらは確かに柏葉付騎士鉄十字勲章には違いなかったが、ど真ん中に満面の笑みを浮かべた院長閣下の顔が彫り込まれていたのである。

「げ、げえぇ、何て悪趣味だ。しかも100個も…」(心の声)

「ささっ、どうしたのです。早く着けてご覧なさい。遠慮はいりませんよ」

院長は勲章と同じ笑顔で言ったかと思うと、キッと顔をひきつらせ、言葉を継ぐ。

「で、今後の見通しはどうなのです?!」

この感情の起伏の激しさには、ついて行けない。そこに理論などない。意味を考えるだけ時間の無駄だ。言われたことをしていりゃ、取り敢えず首はつながる。こうして部下に見放された組織は、どんなに見た目が強固でも、先が長くはない。ましてや、見放されたことに上司が気づいていないのなら、なおさらだ。

「へい、取り敢えず、ぞ、賊軍を包囲しましたんで、あとはいくらでも料理できます」

「料理はもともとお前たちの仕事です!そんなことより、二人には罰も与えねばなりません。私は公平な人間なのです。上級大将から二等兵に降格の上、今後しばらく食事は抜きです!」

「そ、それだけは…」

必死の形相で懇願する中年男に、院長はとどめをさす。

「お黙り!そんなに食べたければ、さっさと勝利を収めればよいのです。それができないのなら、芽の出たじゃがいもでもかじってなさい!」

因果応報。どこかで聞いたような罵声を浴びせられ、ジェームスの中年魂に火が付いた。

「メ、メシ抜きだけは我慢ならねぇ…やられたらやり返す。倍返しだ!」

食欲が歴史を動かそうとしていた。

~CONTENTS~
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