このページでは、主に『ペリーヌ物語』と『小公女セーラ』を、比較・考察しています。
物語の終盤、雪の日に、ふたつのストーリーはクライマックスを迎えます。ビルフラン邸の暖炉は、クリスフォード邸へと続く道、そしてその逆もまた真なり・・・
待ちわびた感動のとき ここに至る過程では、想いを明かすことができないペリーヌさんの苦悩と、徐々に彼女を肉親ではないかと意識し始めるビルフラン氏の心の機微が描かれます。クライマックスシーンでは、重要な2人の登場人物(ビルフラン氏・フィリップス弁護士)が、一つの結論を胸に相対しています。すでに、祖父と孫の感動的な対面、と言う可能性を感じているのです。そして、室内のただならぬ雰囲気を見て、別室へ下がろうとしたペリーヌさんは、ビルフラン氏に呼び止められ、胸騒ぎとともに弁護士の言葉を聞くことになります。さすがのペリーヌさんも、ずっと待ちわびていた『その時』が今すぐ訪れる事になろうとは、予想していませんでした。 堪えていた多くの想いをこめた涙と共に、祖父の胸に飛び込んだペリーヌさん。「人に愛されたければ、まず人を愛すること」という母の教えが、ここに実を結んだという事実を、彼女自身も視聴者の皆さんも、しみじみと噛みしめたことでしょう。 |
衝撃の名場面 そして初対面となる二人の会話の流れから、カーマイケル弁護士の問いかけに何気なく答えたセーラさんの一言…遂に驚きの事実が明らかとなり、感動の名場面へとお話は急展開します。つまりここでは、登場人物の誰もが、この結末を予想すらしていなかったのです。この部分が、ペリーヌ物語のクライマックスシーンとの最大の相違点と言えます。
事実を知り、驚愕の後、感涙にむせぶクリスフォード氏に対して、衝撃のあまり、やや茫然自失のセーラさん。くじけず強く生きてきた結果、苦難の時が終わりを告げたのですから、ペリーヌさんもセーラさんも、同様にハッピーエンドを迎えた、と言えますが、そこにセーラさんの涙は描かれていない、という点に、私達視聴者は十分留意する必要がありそうです。 |
付記:二人の少女は幸せなのか・・・ クリスマスも近い、冬のある日。勢揃いした物語のキーマンたち。燃え盛る暖炉の火。窓の向こうに舞う白い欠片。クライマックスへと口火を切る弁護士の言葉…ペリーヌ物語と小公女セーラ。二つの作品は、その最大の見せ場に多くの類似点が見受けられます。そして、これらの舞台設定から明らかにされる事実と結果は、見る者を大きな感動へといざないます。まさに、長編名作アニメの面目躍如と言ったところですが、二人の主人公にとっては、それが持つ意味はかなり異なるようです。 すなわち、ペリーヌ・パンダボアヌ嬢は、その長い旅路の中で胸に秘め続けた「祖父の愛情を得る」という思いを結実させ、大きな精神的充足感を味わうことができました。と同時に、亡き両親に対する、祖父の複雑な感情をも解きほぐすことができました。ペリーヌさんにとって、ビルフラン氏との真の邂逅は、希望に満ちた未来への幕開けでもあったのです。 今、二人の可憐な少女の旅は終わり、新たな空の下、幸せな日々が始まろうとしています。愛する祖父と共に、マロクールの街づくりへと向かうペリーヌさんと、亡き父の友人の養女として、あの学院へと戻ってゆくセーラさん。その二人の後ろ姿に、皆さんは何を見るでしょうか… そして、このサイトもこれで終わりです。 |