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このページでは、主に『ペリーヌ物語』と『小公女セーラ』を、比較・考察しています。

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ペリーヌさんとセーラさん。ともに2ヶ国語を操るバイリンガルですが、その恵まれた才能がもたらしたものは・・・

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第34話『忘れられない一日』より


幸せへの階段を登る切り札
ペリーヌさんのご両親は、お父さんがフランス人、お母さんはインド生まれの英印ハーフです。従って、ペリーヌさんは英仏2カ国語が話せました。また、おそらくはヒンドゥー語の知識も有ったのでは、と推察されます。そして、その語学力は、物語全体を通じて、終始ペリーヌさんにプラスの要因となりました。

ストーリー前半長旅編では、複数の言語圏が舞台となりますが、そこで彼女の言語能力が大いに役立ったであろうことは、想像に難くありません。写真のお客を呼び込む際など、とても重宝したことでしょう。もちろん突き詰めれば、英語とフランス語だけですべての要件をこなすのは、無理があります。もしかすると母マリさんは、更に多言語に通じていたのかもしれません。となると、ペリーヌさんのバイリンガル能力は、お母さん譲りとも言えるでしょう。

ともかく、親子の旅の途上では、言葉の問題がネックになることはありませんでした。これは既に、物語後半における、ペリーヌさんの語学力による成功を示唆していたと見なすのは、あまりにも先走りすぎた捉え方でしょうか。

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人々に写真撮影を勧めるペリーヌさん。彼女の宣伝はなかなか巧みで、旅の写真屋で重要な役割を担いました。この経験は、後々通訳や秘書といった立場になっても、役立つことになります。

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どなたか、写真をお撮りになりたい方はいらっしゃいませんか。一生の記念にお写真をどうぞ。

さて、ストーリー後半フランスのマロクール編では、彼女の語学力が更なる威力を発揮します。最愛の両親を失い、人の善意を得て続いた長旅は、目的地マロクール到着により、終わりを告げました。しかしそこで、自らを受け入れてはくれないであろう、冷徹な祖父の一面を知り、ペリーヌさんの新たな”旅”が始まります。それは、目の前の祖父の、凍てついた心を溶かすための旅路です。

オーレリィを名乗ってトロッコ係として働く傍ら、祖父ビルフラン氏の臨時通訳として急遽呼び出されたペリーヌさんは、意思の疎通が図れないでいたイギリス人技師とフランス人工場関係者の間を取り持ち、流暢な英語で問題を解決して見せました。

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多くの大人たちの間でも、堂々と通訳に徹するペリーヌさん。自らの英語力への自信と、旅で培った物怖じしない心、そして持ち前の明るさで、見事に大役を務めました。

ここから、通訳としての採用、秘書への登用、そして祖父宅での同居と、一気に物語は思いがけない展開を見せてゆきます。そしてそのきっかけとなったのが、彼女の英語力でした。加えて、「愛されたければ、まず人を愛せよ」という母の教えを体現したペリーヌさんの優しい言動が、やがて祖父の心を開かせてゆくのです。語学力と愛する心。母にもらった2つの大きな宝物を胸に、ペリーヌさんの旅路は、ゆっくりクライマックスへと向かってゆくのでした。


才能は諸刃の刃・・・
セーラさんのご両親は、イギリス人のお父さんとフランス人のお母さんです。そして、お父さんのお仕事の関係で住んでいたインドのボンベイで、セーラさんは育ちました。従って、彼女もペリーヌさんと同じく、英仏2カ国語が話せました。当然ロンドンのミンチン学院でも、その語学力は学習面で大いに役立つかと思われました。が、セーラさんにとって、そうした優れた語学力は、予想もしない結果を彼女自身にもたらしました。

転入後の初授業や、ロンドン市長夫人の授業参観で流暢なフランス語を話したことから、学院長や代表生徒のラビニアさんたちの反感を招いてしまったのです。これが発端となり、セーラさんの優れた容姿、分け隔てのない明るさ、他者への思いやり、正しい自己主張など、本来なら長所であるはずの部分が、ことごとく周囲の妬みや意地悪の対象となり、やがては陰惨ないじめへと発展してゆくことになるのです。

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大事な授業参観の大舞台。その滑らかなフランス語で、来賓に挨拶するセーラさん。代表生徒として、順風満帆な学院生活が待っているかと思われましたが・・・

こうしたいじめの原因を、ひとつの物に求めるのは困難ですが、少なくとも、セーラさんの優秀な語学力が、一つのきっかけになってしまったのは事実と言えましょう。メイドとして弱い立場に陥った後も、フランス語授業の宿題代行を強いられたり、授業参観時に、一日だけの臨時代表生徒として駆り出されたりと、彼女は自分の語学力に振り回され続けます。また、セーラさんのフランス語の学力を惜しみ、彼女に味方してくれた学院フランス語教諭のデュファルジュ先生は、それが引き金となり、学院を去ることになってしまいました。彼を恩師と慕ったセーラさんとのお別れのシーンは、小公女ストーリーのなかでも際立った悲しい場面です。

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再びの授業参観。一日代表生徒として、一層磨きをかけたフランス語の学力を示しましたが、これが終わればまた、辛い学院メイドの生活が待っています・・・

その一方で、皮肉なことに、セーラさんを先の見えない苦境から救った一因もまた、語学力でした。ストーリー後半、クリスフォード氏との関係性においては、セーラさんのヒンドゥー語の知識や、格調高い手紙をしたためることができる文章表現力が、大逆転のきっかけとなりました。向学心旺盛で、過酷な毎日にも決して勉強の手は止めなかったセーラさん。たゆまぬ地道な努力が、最後に自らの身を助けたと言えるでしょう。

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親切な魔法使いさんへの、お礼のお手紙。まごころと高い教養を感じさせる文面が、読む者の心をとらえます。

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