このページの内容は、小公女セーラとガールズアンドパンツァーを参考にした創作です。
ガールズアンドパンツァーについては、こちらをご覧ください。
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ミンチン寄宿女子学院が、戦車道世界選手権日本大会に出場することとなりました。
日本の運営事務局から、特別枠での招待を受けたロンドン市庁政府が、市長夫人を通じてミンチン学院に出場を要請してきたのです。しかも、市長夫人はセーラさんを直々に指名してきました。やはり、代表生徒としての凛とした印象が強かったのでしょう。
これを聞いて慌てたのは、ミンチン院長先生です。授業参観を何とか乗り切ったと思ったら、またもやの一大事。セーラさんへのひどい仕打ちが明らかにならぬよう、急遽彼女を総指揮官とした戦車道チームを編成しました。これまで何事もなかったかのような涼しい顔で、あっさりと体裁を取り繕ったのです。
しかし、この決定は学院に新たな波風を立てることになりました。メイドからチームリーダーへと大抜擢されたセーラさんは、驚きと共に、その先に待ち受ける苦難を思い、困惑しました。何より、現在の代表生徒ラビニアさんが納得するはずがないのです。その怒りの向かう先を思って、セーラさんは小さくため息をつくのでした・・・
もちろん院長先生も、この辺りの事情は十分承知していました。とにかく、万事に控えめなセーラさんを、やる気にさせればよいのです。そうなれば、あとはラビニアさんをおとなしくさせることなど、百戦錬磨のマリア・ミンチン女史にとっては、たわいもないことなのです。
怪しげな笑みを浮かべて、何やら考えをめぐらす院長先生。この熱心さを学院経営に振り向ければ、生徒数は倍増するでしょう・・・そしてアメリア先生を呼び付けると、あれこれ指示し始めました。
「アメリア！ベッキーの給料とセーラの食費を削りなさい。浮いたお金で戦車を買うのです」
「お、お姉さま・・・」
ミンチン院長は、戦車道大会優勝賞金でインドのダイヤモンド鉱山採掘権を買い取り、英国社交界へ鮮烈デビューすることを目論んでいます。セーラさんの実力をもってすれば、決して夢物語ではありません。そうなれば、彼女の父親の破産で学院が被った損害を補って余りある資金が、手元に転がり込んでくる事でしょう。
あとは、ミンチン学院を富裕層限定のセレブ学校にして大儲け。わたくしはサーの称号を受け・・・思わず踊り出しそうになるのをぐっとこらえ、表情を引き締めます。
「そろそろ、ふたりがやって来る頃でしょう。先に来るのはどちらかしら」
「院長先生！なぜわたくしではなくセーラなのです？認められませんわ！」
激しく詰め寄るラビニアさんに、作り笑いで答えるミンチン先生。
（やはり、この子が先に来ましたか・・・）
「ラビニアさん、なにも心配はいりませんよ。勝てば名誉はこの学院、つまり代表生徒のあなたの物です。そして負けるようなことがあれば・・・」
そこで一度言葉を切ると、ミンチン院長は冷たく続けました。
「敗北の責任は全てセーラに取らせます。どのような罰を与えればいいか、妙案があれば、ささっ、言ってごらんなさい」
「い、院長先生・・・」
湧き上がるどす黒い喜びに、ラビニアさんは打ち震えるのでした。そしてその様子を暖かく見守りながら、院長は思っています。ラビニア、だからお前はその
程度なのです、と・・・
「院長先生、なぜわたくしなのでしょうか。もっと他の方が・・・」
ためらいがちに話すセーラさんに、固い表情で答えるミンチン先生。
「セーラ！私はお前にチャンスを与えてやったのです！！勝てば、メイドから学院の年少組教員に格上げです。他にも、望みを叶えてあげましょう」
そこで一度言葉を切ると、ミンチン院長は優しく続けました。
「何なら、先に望みを聞いてやっても良いのですよ。ささっ、言ってごらんなさい」
「い、院長先生・・・」
こみ上げる感謝の想いに、セーラさんは打ち震えるのでした。そしてその様子を暖かく見守りながら、院長は思っています。セーラ、だからお前は世間知らずのプリンセスなのです、と・・・
そして、何度かの練習試合を経て、チームは力をつけてゆきました。隊長のセーラさんは、いつも穏やかな笑顔を忘れず、少しでもみんなのいいところを引き出そうと、一生懸命頑張っていました。その様子に、アーメンガードさんが話しかけます。
「セーラ、あなた最近とても嬉しそうね。どうして？」
「今にわかるわ、うふふ」
上品な微笑みを浮かべるセーラさん、実は院長先生に、ベッキーさんを一般生徒にしてあげてほしい、とお願いしていたのです。自分の幸せより、他にもっと大事なものがある、と信じている彼女ならではの望みでした。
「院長先生は、確かに約束して下さったわ。大会で勝利すれば、わたくしもベッキーも、みんなが救われる。頑張らなくては・・・」
一方、ラビニアさんも上機嫌です。いつも押しつけがましい笑顔を忘れず、少しでもみんなの足を引っ張ろうと、一生懸命頑張っていました。その様子に、ジェシーさんが話しかけます。
「ラビニア、あなた最近とても嬉しそうね。どうして？」
「今にわかるわ、うふふ」
やや品に欠ける微笑みを浮かべるラビニアさん、院長先生にセーラさんへの懲罰の具体案を山ほど提案していたのです。自分の幸せこそが大事、と信じている彼女ならではの望みでした。
「院長は確かに約束したわ。大会で無様に負ければ、セーラを必ずひどい目に遭わせると。頑張らなくては・・・」
そして、にわか仕立てのミンチン女子学院戦車道チームが、ロンドン港から遥か東洋の地、日本を目指して旅立つ日がやって来ました。
見送る院長先生は、既に勝利を確信しています。チームが優勝旗と共に帰国する頃には、自分は上流階級の仲間入りをしているだろう、と・・・もちろん、セーラさんやラビニアさんとの約束など、始めから守るつもりなどありません。
でも、院長先生はまだ知りません。自分の傍らで静かに微笑むアメリア先生が、この機に学院の経営権奪取を狙っていることを・・・そして、更にその裏で冷たく笑うのは、戦車道新設に当たって資金提供を申し出てきた謎の紳士、トム・クリスフォード氏・・・
「お隣の学院は私が頂こう。屋根裏の少女も・・・」
こうして、前途に難題を抱えた戦車道チームは、長い戦いの日々へと向かったのでした。チーム内の軋轢、圧倒的なまでの経験・準備不足、アウェーという不利な条件、そして学院経営をめぐる巨大な陰謀・・・
それら全てを乗り越えて、強豪校が揃う本大会を勝ち抜く事はできるのでしょうか。小公女セーラ・クルーと仲間たちの真価がいま、試されます。そして、やがて彼女たちがロンドンに帰ってきた時、学院を手中に収めているのは、果たして誰・・・？
●ひまわりチーム （セーラ・アーメンガード・ベッキー） 
▶歩兵戦車マチルダⅡ
名実ともに、学院の主力チームです。フラッグ車も務めていますが、メイドに専用戦車など不要、という院長先生の方針に基づき、搭乗するマチルダ戦車は聖グロリアーナ女学院からの貸与品となっています。別名、一日だけのシンデレラチームとも呼ばれていますが、その意味を知っているのはチームメート達だけです。また、４人目のメンバー「エミリー」の存在も、このチームだけの秘密です。
●謎の特別寄宿生チーム （ラビニア・ガードルード・ジェシー） 
▶巡航戦車クルセーダー
代表生徒ラビニアさんが車長で、チームワークは最悪です。彼女は、母国アメリカ製のM３グラント中戦車を希望していましたが、同乗を希望する生徒が皆無だったため、やむなく巡航戦車に乗ることとなりました。また、油田を持つラビニアさんのお父さんが、チーム全体の補給・兵站を一手に引き受けている関係上、特権意識に染まった彼女が、作戦行動計画を無視してスタンドプレーに走りがちです。このチームが暴走すると、学院の勝利は覚束なくなってしまうでしょう・・・
●妖精たちのパーティーチーム （ダイアナ・ジェニファー・リンダ・クリステル・ドルシラ） 
▶M3グラント中戦車
一般生徒５人組。２門の戦車砲を備えるグラントを扱うために、学内の人間関係に配慮した結果、このメンバーとなりました。実力のほどは未知数ですが、学院で最強の戦闘力を持つ戦車です。仲良し５人組ではありますが、リーダー不在という点が不安要素です。ロンドン出発前に行われた練習試合では、空砲射撃を受けてパニックとなり、戦車を捨てて逃げ出してしまいました。今後の成長に期待しましょう。
●年少組の小さな戦士チーム （ロッティ・スーザン・ジェイン・ペネラビ） 
▶ガーデンロイド豆戦車
大会出場資格を満たすため、無理やり編成された予備チームです。年齢制限にも抵触する恐れがありますが、院長先生が押し切って参加させました。本人たちは、ただの修学旅行だと思っているようです。全体の足を引っ張る可能性大ですが、スーザンさんは、職業軍人のお父さんの才能を受け継いでいるかも・・・練習試合では、意外にもアンブッシュ戦法で健闘しましたが、最後はロッティさんが大泣きして、負けてしまいました・・・
大会エントリーに先立ち、連盟事務局に提出された資料を見てみましょう。事前に名簿が間に合ったのは、セーラさんの『ひまわりチーム』だけのようです。
ミンチン学院が招待された、戦車道世界大会。その中身を詳しく見てみましょう。それは、各国から集った戦車乙女たちが、チャンピオンフラッグ目指して競い合う真剣勝負の祭典です。
別名プロホロフカの乙女。赤軍の流れをくむ伝統校です。縦深陣地を使った防御戦法に優れており、突破力にも定評がありますが、味方の損害を考慮しないのが弱点です。
電撃戦では世界最強の実力を持つ強豪校です。これまでも度々、優勝候補に挙げられてきましたが、未だ準優勝止まりです。深い森を見ると突入してしまう癖があり、最後に燃料切れを起こしてしまうのが敗因と言われています。
陽気なラテンのリズムに乗ると手ごわい古豪です。攻撃主体の学校で、防御戦になると我先に逃げ出します。「我らが陸」の合言葉のもと、地中海最強と称していますが、別名アフリカ軍団のお荷物とも呼ばれています。
製糸工場附属学校の高等科が母体です。毎年行われる、ボスニアからフランス本国までを走破する遠征合宿は、世界的にも有名な行事です。野外での駐屯生活術にも長けていますが、試合が始まるとすぐに要塞線に籠ってしまうのが難点です。
肉食系女子が揃った、世界大会の常連校です。豊富な資金力をバックにした物量作戦を得意としています。ピンチになると、すぐに規定違反の航空支援を要請してしまう習性があり、それが毎年優勝を逃し続けている理由です。
チームワークの固さを武器に、地区予選を勝ち上がってきた、初出場校です。射撃精度や事前偵察能力も高く、隠れた優勝候補と言われていますが、試合時間が午前中だと脆さを露呈します。
サイコフレームや、ビームマグナムなどの新世代技術を多用し過ぎ、大会規定違反で出場停止となっていた学校です。処分明けの今大会でも、ニュータイプの少女をチームリーダーに擁して高い戦闘力を持っていますが、「ラプラスの箱」という言葉を聞くと大混乱に陥るのが最大の弱点です。
国際戦車道連盟の特別招待枠で参加した学校です。戦車発祥国イギリスの戦車道チームが、欧州予選で全て敗退してしまったため、その穴埋めとして選ばれました。まだ対外試合経験が浅く、実力は未知数ですが、昨年の大洗女子学園のような周りを驚かせる活躍が期待されています。
【第１試合】 クルスク戦車学校 VS アルデンヌ装甲学院
一次リーグ屈指の好カードです。ひた押ししてくるクルスク戦車学校に対して、アルデンヌ装甲学院が機動戦術で応戦する展開が予想されます。ゼロ距離で重戦車どうしが撃ち合う、激戦となるでしょう。
【第２試合】 県立大洗女子学園 VS アリエテ戦車学院
試合巧者の大洗女子と、攻めると強いアリエテ戦車学院の対戦です。両校の実力は拮抗していますが、アリエテ学院が、姉妹校アンツィオ高校の仇を討とうとして気負い過ぎると、一方的な展開に・・・？
【第３試合】 州立パットン女子高校 VS パンダボワヌ学院
アグレッシブなパットン女子の攻勢を、守備的布陣
のパンダボワヌ学院が受け止める展開です。パンダ
ボワヌ学院が、要塞線でどこまで持ちこたえられる
かが、勝負の分かれ目となるでしょう。
【第４試合】 ミンチン寄宿女子学院 VS アナハイム高専
最も展開が予想しづらい試合です。招待参加のミン
チン学院にとって、経験豊富なアナハイム高専との
対戦は厳しいものがありますが、フラッグ戦ルール
なので、大番狂わせが起こる可能性もあります。
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